2018年

2018.12.20配信

「災」

 今年の漢字は「災」になりました。この字が選ばれた通り、今年は全国的に印象に残る、または記録に残る災害が数多く発生しました。

 地震に関しては6月の大阪北部地震、9月は北海道胆振東部地震。気象については、冬は北陸などで大雪、梅雨は西日本を中心に広い範囲で豪雨が発生、7月から8月にかけては最高気温が40℃を超える猛暑。夏から秋にかけては台風が次々と上陸し、東から西へ進んだ台風12号、関西に高潮や暴風をもたらした台風21号、台風24号では高潮や塩害など。

 今年は地震や台風などの影響を何かしら受けて、被災された方も多かったのではないでしょうか?

 必ず起きてしまう天災からは逃れることができません。しかし、減災や防災は可能です。今年の漢字「災」の字を見て、情報を頼りにしている方々に、少しでも防災や減災につながる情報をお伝えすることが大事だと強く感じました。来年は何事も心配のない無事息災であることを願います。

2018.11.20配信

「稲孫」

「稲孫」と書いて何と呼ぶでしょうか?「ひつじ」と呼びます。ひつじは、刈り取った稲の株から出てくる新たな芽のことで、「二番穂」や「稲のひこばえ」とも言います。収穫後に気温の高い状態が続くと、ひつじが出てくるのです。

 そのひつじを見たのは、11月中ごろの新潟県三条市。今年10月の新潟の平均気温は平年よりも0.9℃も高かったこともあり、ひつじが伸びていました。冬になると枯れてしまうひつじですが、生長を期待されていない田んぼで、一生懸命伸びようとする姿には、いとおしさを感じてしまいます。

 その日は小春日和、田んぼはひつじで薄っすらと緑色、周囲の山は紅葉し、空は青く澄み渡り、ポコポコと白い雲が浮かび、コントラストが美しい晩秋の景色を見ることができました。新潟は11月後半に入ると晴れの日が少なくなり、曇りや雨が続きます。冬に入る前の名残惜しい景色でした。

 景色を見ながら一句「稲孫(ひつじ)出て 空に浮かぶは ヒツジ雲」

2018.10.19配信

「不時現象」

「不時(ふじ)現象」とは平年と著しくかけ離れた時期に開花や落葉、虫や鳥の初鳴が生じることです。開花では一般的には「狂い咲き」と言いますが、放送上や気象庁の生物季節観測では「不時現象」と呼んでいます。

 今年の10月半ば、我が家(兵庫県西宮市)の周囲でソメイヨシノやシダレザクラがチラホラと咲きました。台風が10個上陸した2004年以来、久しぶりの秋の桜でした。

 桜の不時現象が起きる原因は、落葉が早かったことによります。桜のつぼみは夏には出来ていますが、葉から開花を抑制する物質が出ているため、秋に咲くことはありません。しかし、今年のように台風が次々と襲来し、葉が暴風や塩害によって落とされてしまうと、抑制される物質がなくなり、生長に適した暖かさもあるため咲いてしまうのです。

 ただ、間違えて咲いてしまう花の数は少なく、翌春の花が見た目の上では少なくなることはありませんので、ご心配なく。

「桜咲く 葉っぱ落として 錯乱し」

 2018.9.20配信

「非常に強い台風」

 「非常に強い」台風は本当に「非常に強い」と思い知らされました。93日に台風21号が「非常に強い」勢力を保ったまま四国から近畿地方を通過していきました。

この日はNHKの大阪放送局で仕事をしていましたが、台風が淡路島付近を北上し始めると南風が強まり、神戸再上陸の頃になると大阪市内はゴーゴーと暴風が吹き荒れ、放送局のビルは風でゆ~らゆ~らと長周期地震動のように揺れていました。

 通過後に街の中を歩いてみると、複数の街路樹が倒れ、信号は曲がり、看板は転がり、車は横転、瓦が飛び、電線は切断され停電が発生、沿岸は高潮の被害、兵庫県西宮の我が家(沿岸から3㎞離れている)の窓ガラスには塩が付着していました。

台風の接近の際は「外出を控えて!」と呼びかけますが、本当に風速が45㎧前後吹いているときの外出は無謀です。この惨状を忘れることなく、またいつかやってくる非常に強い台風への教訓にしたいと考えています。

2018.8.20配信

「広く雨」

「西日本は広く雨で雷を伴うでしょう。」などと、最近天気予報の中で「広く雨」と言う言葉をよく耳にします。テレビやラジオからだけではなく、気象庁の短期予報解説資料にもしばしば登場します。広い範囲で雨が降るという意味は分かるのですが、個人(おじさん)的には違和感がある言葉です。「広く」は、形容詞「広い」の連用形です。連用形なので用言に連なり、「雨が広く降る」の「降る(用言)」を付けないと言葉としては不十分だと思います。同じ形容詞「強い」にすればどうでしょうか?「強い雨」とは言いますが、「強く雨」とは言わないですよね。「雨が強く降る」として「降る」にかかるのが自然だと思います。言葉を短くしてテンポよく話した方が、伝わりやすいこともあります。しかし、短くすることによりぞんざいに聞こえてしまう場合もあります。信頼性を持たせるためには言葉を丁寧に扱うことも必要ではないかと感じる今日この頃です。

2018.7.20配信

「猛暑」

 西日本豪雨で被害にあわれた方に心よりお見舞い申し上げます。

 さて、豪雨の後は高温となり、尋常ではない暑さになっています。暑さを表す言葉に「猛暑(もうしょ)」「甚暑(じんしょ)」「極暑(ごくしょ)」「厳暑(げんしょ)」「酷暑(こくしょ)」「熱暑(ねっしょ)」「炎暑(えんしょ)」などがあります。本当に今年は、体に酷であり、燃えるような暑さになっています。

少しでも暑さをしのぐためには、日陰を選ぶことは大事です。頭の表面の温度を日向と日陰で測ると日向は50.8℃、日陰は34.6℃でした。また、色も大事です。同じ素材でできた白と黒のシャツを着て日向で表面の温度を測ると、白は34.5℃、黒は44.8℃でした。

 夏の昼間は少しでも日陰を選び、帽子や日傘の使用を心がけましょう。また、黒は熱を吸収するので、日の当たる場面では白っぽい服を選ぶことも大事です。

今年は猛々しい暑さになっています。熱中症にかからないように気を付けましょう。

2018.6.20配信

「揺れました」

「ガガガッ」突き上げるような揺れに襲われました。618日の朝8時前、大阪北部を震源とする地震が発生しました。我が家(兵庫県西宮市)は震度5弱、阪神大震災以来の強い地震でした。家の中はお皿が数枚割れた程度で、大きな被害はありませんでしたが、娘が大阪へ向かう電車がストップし、我が家から十数キロ離れた駅で待機しているとの連絡が入りました。

 電車はしばらく動く気配はなく、迎えに行くことに。しかし車やバスで行こうにも、道路は大渋滞。自転車で行くことに。日差しが強く、汗はだくだく。無事娘とは落ち合うことができ、帰りはぼちぼち歩いて帰りました。久しぶりの自転車に長距離の徒歩。家に着いた頃には筋肉痛でした。

 雨が降っているわけでもなく、夜でもなかったので、条件はまだ良かったかもしれませんが、公共交通機関が動くまで子供を待機させるわけもいかず、大地震が来た時の移動手段を考える機会となりました。

2018.5.18配信

「初夏の暑さ」

 まずは問題です。最高気温が25℃以上になると何日と言うでしょうか? 「1.ナスビ」、「2.夏日」、「3.真夏日」。 

 答えは夏日です。真夏日は30℃以上の日のことです。ちなみにナスの生育に適した温度は20℃から30℃。夏日や真夏日が出現するころによく育つようです。

 今年の5月は中旬に真夏日を迎えた所が多くなりました。例年の真夏日の初日よりも10日前後早くなりました。真夏日の初日が早いとその年の夏は暑くなるのか?調べたところ、あまり関係がなさそうです。梅雨が季節の進みをリセットするようで、真夏日の初日が遅くても梅雨明け後に暑さが続き猛暑になる年もありますし、逆に真夏日が早く現れても梅雨明け後は気温が上がらず冷夏になる年もあります。

 今年はどうなるのか?今のところ暑くなるとの予報です。今年の夏はナスでも食べますか。ナスは体を冷やす効果があるとのこと。私は焼きナスが大好きです。

「ナス食べて 暑さしのげば 言うことナス」

2018.4.20配信

「ノダフジ開花」

 ノダフジは大阪市福島区野田が発祥の地だそうです。古来より藤の花が群生し、豊臣秀吉も藤の花見に訪れたとのことです。私の事務所はこの大阪の野田にあり、事務所への行き帰りの途中でたくさんの藤棚を見かけます。今年はいつもの年よりも早く藤棚から紫色の花が垂れ下がり、4月の中頃の段階で、甘い香りが漂っていました。藤の周りにはミツバチやクマバチが飛び交って初夏の光景でした。

 気象台ではノダフジの開花の観測を行っています。一つの房に5~6輪咲くと開花になります。その観測結果を見ると今年は驚くほど早かったですね。多くの所が平年と比べると2週間ぐらい早く、大阪や東京などでは観測開始から最も早い開花になりました。今年は3月の気温が高かった(観測史上3月としては1位の所も)ため、ソメイヨシノ以降に咲く花はすべて平年よりも早い開花になりました。今年の春は短かったですね。

「藤が咲き とうとう初夏が やってきた」

2018.3.20配信

「休眠打破」

 桜の開花が今年は早いですね。鹿児島317日に開花し、去年と比べると19日も早い開花になりました。去年の鹿児島の開花日は45日、その2日後に鹿児島の標本木を見に行きましたが、チラホラと咲いている程度で、お花見をする気分にもなれませんでした。

 去年と今年の違いは、冬の寒さと春の暖かさの違いです。冬の寒さで桜は休眠状態から目を覚ませ(休眠打破)、春の暖かさでつぼみが膨らみます。

 去年の1月の平均気温は9.0℃、今年は7.6℃でした。去年は暖かかったので上手く目が覚めなかったのに対し、今年は寒さでしっかりと休眠打破ができたと思われます。また31日から17日の平均気温は、去年は10.7℃で、今年は13.8℃。去年は春の気温が低かったのに対し、今年は気温が高く順調に生長したと考えられます。

 しっかり目覚めて、しっかりと育つ、人間にも当てはまるようだと桜とわが子を見ながらふと思いました。

  桜咲く 寒気が歓喜を 連れてくる

2018..20配信

「粉に憤慨」

 スギ花粉が飛び始めました。今年は1月から2月初めにかけてかなり冷え込みましたので、花粉の飛散が少々遅れていましたが、我が家(兵庫県西宮市)では2月半ばから飛び始めました。

 花粉の観測は、基本的に顕微鏡で落ちてきた花粉の数を数えます。我が家でも観測を続けて、もう15年ほどになります。観測の方法は単純で、スライドガラスの上に花粉を付着させるワセリンを塗り、朝9時にセットして翌日9時まで放置し、回収します。それを毎日繰り返して、一日当たり何個落ちてきたかを数えるのです。最盛期になると1日に一平方センチメートル当たり700個前後になるので、数えるのに1時間近くかかるときもあります。

 春は花粉だけではなく、黄砂も飛んできます。PM2.5も飛んできます。人の健康に影響を及ぼすものが顕微鏡で数えきれないくらい見ることができるのです。特に空がかすんでいるときはかなり飛んでいますので、要注意ですよ。

「春の空 粉の害に 憤慨し」

2018.1.20配信

「霜」

 今冬は、天気予報の中で「厳しい寒さ」という表現をよく使います。強い寒気が流れ込み、東京でも最低気温が0度前後まで下がることが多くなっています。そんな冷え込んだ朝に代々木公園などに行くと、霜で芝生が真っ白です。

 霜は地面や地面付近の草などが氷点下になり、空気中の水蒸気が地面や草木などに触れて昇華(気体が固体になる)してできた氷の結晶です。

 地面に張り付くようにして芝生に付着している霜をじっくり眺めると、芝生を軸として試験管を洗うタワシのようになっているものをよく見かけます。芝生についた霜の上にさらに水蒸気がくっついて伸びていったのでは?などと、でき方を想像するのも楽しいものです。キラキラと宝石のように輝き、太陽の光が当たり始めると少しずつ解け始め、はかなさもまた神秘的です。

 霜を眺めてはいかがでしょうか?人に喋りたくなるいろいろな発見があるかもしれません。

「寒い朝 下ネタよりも 霜のネタ」

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気象キャスター 南利幸さん
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