2017年

2017.12.20配信

「今年の漢字」

 私が選ぶ今年の漢字は「颪」です。颪(おろし)とは山を吹き降りる強い局地風のことです。下に風と書く「颪」の漢字は、風のあり様をうまく表現していると思います。

 関西で颪と言えば六甲颪です。六甲颪は、六甲山を越えた北風が強風となり阪神地域に吹き降りる風です。北風なので冬に良く吹く風ですが、夏場でも台風が関西の東へ移ったときにも吹くことがあります。

 今年は記録的な六甲颪が吹きました。原因は台風21号。静岡県に上陸する前の1022日の夜から23日の未明にかけて、神戸では最大風速が30.7m/s1897年からの観測で2番目に強い風が吹き、我が家(兵庫県西宮市)でも、ゴーゴーと風が鳴り、風圧で家がきしむ音がしました。翌朝、家の周りでは桜や柳が根元からなぎ倒され、自転車やバイクも地面に転がっているのを見て唖然とした次第です。 

地形と気圧配置の組み合わせで吹く「颪」を今年は肌で感じることが出来ました。

「山下る 強い颪は 恐ろしい」

2017.11.20配信

「紅葉狩り」

 紅葉狩りに行ってきました!と言ったら、なぜ見るだけなのに「狩り」なの?と尋ねられたことがありました。確かに潮干狩り、シイタケ狩りなど、獲物を得ることが基本的な「狩り」の意味です。しかし「桜狩り」という言葉もありますので、精神的な充足を得ることも「狩り」には含まれていのではないかとお答えしました。

 今年は紅葉狩りに出かける機会に恵まれました。京都の二条城内にあるイチョウの標本木、皇居のお堀の横にある東京の標本木、神宮外苑のイチョウの木、京都の南禅寺のカエデやイチョウ。黒が基調の南禅寺の庭に、黄金色に染まったイチョウの葉っぱが降り積もっている様は、別世界に誘われたようでした。そして、ロケの仕事で出かけた。嵐山のトロッコ列車。車窓を流れていくモミジの景色はも絶景でした。

 紅葉狩りは遠くから見るもよし、近づいて一枚一枚の葉っぱを見るもよし、今年は秋の景色に酔いしれました。

今日の一句「紅葉の 景色に気分も 高揚し」

2017.10.20配信

「なに着る?」

  なんだか体の調子が良くないなぁ。気温がジェットコースターのように急激に上がったり下がったり、今年の10月は何を着て出掛ければ良いのか難しい。日ごとの変動は、春は大きいのは普通ですが、秋にここまで大きいのは珍しいですね。

 どのような服を着れば良いのか、目安の温度があります。25℃以上は半袖、20~25℃は長袖、15~20℃になるとジャケットなどの羽織るものが必要と言われています。

 10月の最高気温(平年値)は、北日本では月の初めは20℃位、月末には15℃位(長袖からジャケットへ)。東日本や西日本は初め25℃位、月末には20℃位(半袖から長袖へ)。最高気温の平年値だけ見ても服選びは難しいのに、実際の温度変化は日々激しく、明け方との気温差もあるので、気を付けなくてはなりません。

 服選びに無頓着だと、体調を崩すことにもつながります。変動が大きい今年は服の選択は間違えないようにしたいですね。

「半と長 袖を間違え 寒そーで」

2017.9.20配信

「お彼岸」

 彼岸花を見かける季節になりました。今年の開花、東京は少し早かったですね。代々木公園の彼岸花は99日ごろにはポツポツと咲き始め、翌週の16日にはほぼ満開になっていました。それに対し、我が家(兵庫県西宮市)の近くは彼岸の入りになってやっと咲きだし、東京と比べて一週間ほど遅くなっていました。関東と西日本の今夏からの天候の違いが彼岸花の開花にも表れているようでした。

 さて、この花を見かけると、お墓参りに行かなくてはと思いますが、お彼岸の頃は秋雨のピークの時季でもあるので、よく雨に降られてしまいます。ここ30年のデータでは、雨の降る確率は年間でも梅雨の最盛期の2番目に高く、東京では4割ぐらいの確率(お彼岸の7日間であれば2日から3日は雨)です。今年のお彼岸はどうでしょうか?天気予報をしている身でありますが、天気予報をよく見て出かけたいと思います。

 ここで一句「ヒガンバナ 雨が続くと イカンガナ」

2017.8.20配信

「日傘を差したい」

 日傘を差して見たい!と思うものの、男たるもの街の中で日傘を差すのはかなりの抵抗があります。日よけの帽子は被っていますが、帽子は頭に密着しているので、汗をかいて頭が蒸れてしまいます。(私の薄毛の原因か?)

私の隣でいつも日傘を差している奥さんはとても涼しそうです。ではどれくらい涼しいのか?日傘を差した場合(日陰)と差さない場合(日差しのもと)での、頭の表面(髪の毛)温度を赤外放射温度計で計測してみました。

 何度か計測した結果、差した場合の表面温度は30℃前後、差さない場合は50℃前後でした。なんと20℃も差があるのです。50℃もあれば頭の中の温度も上がってしまう可能性があります。日傘は紫外線を除けるだけではなく、体の温度も下げる効果もあるようで、熱中症の予防には有効なアイテムであることが分かりました。男も日傘を差すのが当たり前な時代になってほしいな。

「サンシェード 男も差すのは 賛成ど」

2017.7.20配信

「熱帯やは眠たいや」

 7月半ばを過ぎましたが、今年はもう夏バテです。夜の気温も下がらず、私が住んでいる兵庫県の西宮は熱帯夜が続いています。熱帯夜とは最低気温が25℃以上の夜のことですが、マニラやグアムの最低気温が26℃前後なので、熱帯と同じ暑さを毎日体感していることになります。

 最近10年の熱帯夜の日数を調べると、47都道府県庁所在地で最も多かったのは那覇で一年あたり118日、次いで鹿児島が58日、神戸49日、大阪42日、福岡41日と続きます。南西諸島や西日本の沿岸では、真夏の海水の表面温度が30℃くらいになるため、夜も気温が下がらず、寝苦しい日が続くのです。

 その熱帯夜が以前に比べると増えています。1980年代と比べると那覇は27日ほど増え、大阪や東京は半月分ほど増えています。仙台でも最近は熱帯夜が現れるようになりました。もう日本の夏は熱帯であることを自覚しましょう。無理なく涼しく過ごしましょう。

「熱帯夜 さらに増えるの 絶対イヤ」

 2017.6.20配信

「アジサイ開花」

 アジサイの装飾花の中ほどにある小さな「真の花」を確認するために、6月はアジサイを見つけると「めくる」作業を行っています。テレビで「真の花」紹介するために、京都と東京のアジサイの標本木を「めくり」に行ってきました。

京都のアジサイは気象台の露場(ろじょう)の片隅にありました。標本木としてここに植えられたぞ!という潔いたたずまいに、「めくる」作業も仕事として堂々と真の花を確認しました。

東京の標本木は、今年から露場のある北の丸公園(昨年までは大手町)のアジサイに代わりました。行ってみると露場から20mほど南にある誰でも通れる歩道の横にアジサイがありました。なぜ突然私が東京を代表する標本木に? ためらいが感じられるアジサイのいで立ちに、「めくる」作業も人の目を気にしながら遠慮がちにさせてもらいました。めくったときの出会いは少しドキドキします。 

「めくるめく 出会った花は ア~じいさい(小さい)」

2017.5.20配信

「探検バクモン(気象庁探検)」

 516日に気象庁で収録を行いました。番組名はNHKの「探検バクモン」です。爆笑問題のお二人とサヘル・ローズさんとで、気象庁内を冒険し仕事を紹介する番組です。

 訪れた場所は、予報の現業室、屋上、図書館です。現業室では大型コンピューターを用いた数値予報の内容や、その数値予報に予報官の解析を加えて発表される天気予報の過程を説明して頂きました。屋上では目視による視程や雲の観測方法を説明していただき、現在においても人による修正や観測は必要であることが分かりました。図書館では二二六事件当日の天気図や戦時中の天気図などを拝見させて頂きました。天気予報は戦時中、極秘内容だったのですね。戦時中にやってきた大きな台風を一般市民に伝えることができず、気象庁の方々は無念だったと思います。

 気象予報士として仕事をしていても、見聞きすることがない内容でした。放送は621日(水)の予定です。「気象庁 希少な番組 ご覧あれ」

 2017.4.20配信

 「顕微鏡で春を感じる」

  毎年2月から5月半ばまで、顕微鏡を使って花粉を数えています。スライドガラスにワセリンを塗って一日放置し、ワセリンに付着した花粉を数えるのです。2月と3月は花粉の種類は少なく、数えるのも簡単ですが、4月はいろいろな花が咲き、飛んでくる花粉の種類も多くなり、何の花粉であるかを同定することも難しくなります。

 花粉症の原因であるスギは3月下旬でほぼ終了、4月の初めから中ごろまではヒノキ花粉が主流となります。4月半ばを過ぎるとヒノキ花粉は徐々に少なくなり、代わっていろいろな花粉が飛び始めます。街路樹によく使われているケヤキ、アカマツやクロマツ、クヌギにコナラ、我が家のプランターに植えているイチゴの花粉まで入ってきます。

 花粉の大きさは0.010.04mm、顕微鏡をのぞかないと分からない世界ですが、いろいろな花粉から季節の移り変わりを知ることもできるのです。

「イチゴより 一期一会の 春が来た」

2017.3.20配信

 「春はあけぼの」

 「ようよう白くなりゆく山際」、明け方がやっと明るくなってきました。天気予報の中では、お天気カメラをよく使います。スタジオから離れている各地の外の様子を映すのです。夏は空の色や雲の形、人々や木々の様子もはっきりと分かりますが、日の出が遅い冬の明け方は真っ暗で、カメラから入ってくる情報は限られています。街の明かりで、地面の様子やまばらに歩いている人が多少見える程度です。月や星が出ていれば晴れていることが分かりますが、曇っていると殆ど分かりません。雨が降っているのかどうかは、街灯に照らされる雨滴や傘を差している人がいるかどうかで判断するしかありません。

  それが、3月中ごろからやっと空の様子や街の様子がはっきりと分かるようになってきました。晴れている日は本当に山際が白く光って見えるのです。清少納言も好んだ「春はあけぼの」、暗さから解放される季節の到来です。                

「天気予報 ありがたいよう 日の光」

 2017.2.20配信

 「雨水」

 今年の218日は、二十四節気の一つ「雨水(うすい)」です。雨水は、気温が徐々に高くなるため、降ってくるものが雪から雨に変わり、積雪も解け始める時期と言われています。

 本当に雪から雨に変わるのであろうか?と疑問に思い、過去50年分の昼の天気(日本海側の気象台)を調べてみました。雨と雪の割合を調べ、雪よりも雨の確率が上回った日は、札幌はさすがに遅く43日、青森は328日、秋田は323日でした。南へ下ると日にちが早くなります。

 では、雨水の頃はどこになるか?金沢、福井が225日、彦根が213日、鳥取が211日でした。ちょうど北陸から山陰付近が、雨水の頃に雪から雨に変わる時期と言えるでしょう。

 ただ、雨水を過ぎたとはいえ、余寒(よかん)や春寒(しゅんかん)という言葉がある通り、寒さが急に戻って、雪が降ることもあります。もうしばらく、寒さや大雪にご注意を。

では一句、「雨水過ぎ 薄い頭は まだ寒い」

 2017.1.20配信

 「冬型の気圧配置」

 冬型になると風向きや地形の影響で、雪が降る所と降らない所がはっきりと分かれます。気象衛星の画像を見ても分かりますが、長距離を移動するとその様子を体感することができます。

 強い冬型の気圧配置になった今年の115日、新幹線に乗って東京から大阪に向かいました。東京から静岡までは晴れていましたが、愛知県に入ると曇り空に変わり、名古屋駅は小雪でうっすらと積もっていました。

 名古屋駅からは新幹線は徐行運転。岐阜羽島からは牡丹雪に変わり、関ケ原から米原までは吹雪で、民家の屋根には30センチほど雪が積もっていました。京都に入っても小雪が舞い、京都駅も数センチの積雪もありましたが、新大阪駅は積雪はなく晴れ間がのぞいていました。

 新大阪到着は60分の遅れで、「新幹線 雪が降ったら いかんせん」ですが、日本海の雪雲が比良山系をすり抜けて、新幹線の沿線に流れ込んでいる様子を改めて感じることができました。

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気象キャスター 南利幸さん
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