2015年

2015.12.20配信

「層雲から雲海へ」

 先日、長野県駒ケ根市に行き、中央アルプスの千畳敷まで登ってみました。行程と標高は「駒ケ根市街地800m程」→(バス)→「ロープウェイ乗り場1662m」→(ロープウェイ)→「千畳敷2612m」です。自らの足はほとんど使わず、標高2612mまで行けるのです。とっても楽ちんな登山です。

 当日、駒ケ根の市街地から中央アルプスを見上げると、中腹からは層雲の中、山の稜線はどこか分からず、登っても何も見えない可能性があります。ロープウェイ乗り場までのバスの車窓は霧の中。しかし、ロープウェイで上がっていくと層雲の上端に達し霧が晴れ、千畳敷に到着すると霧は眼下に広がる雲海に変わりました。霧で100m先も見えなかった景色が雄大な景色となり、雲海の果てには南アルプス、富士山の山頂も見ることができました。

層雲・霧・雲海、見る場所によって言い方が変わりますが、短時間ですべてを見ることができたのは面白い経験でした。

「山登り 霧がすっきり 雲海へ」

 2015.11.20配信

 「紅葉と黄葉」

  今年の色づきはどうですか?私が見ている限りにおいては、カエデが今一つですね。

 紅葉(黄葉)は、冷え込みにより葉と幹との間に「離層」と呼ばれる層ができ、葉と幹の栄養分などの往来が遮断されることから始まります。

 葉には緑の色素と黄の色素があり、普段は緑の色素が多いので、葉は緑色に見えています。しかし、離層ができると緑の色素がなくなり、黄の色素だけが残るので、黄色になるのです。このため、イチョウは天候に関係がなく、黄色に染まります。

 カエデも緑の色素がなくなり、黄の色素が残るのは同じですが、光合成により葉の中に糖がたまります。その糖が赤の色素に変化するのです。カエデは日照が多いことが濃い赤色になる条件です。今年の11月は日照が平年よりも少ないため、赤の色素が少なく、黄の色素と混ざったオレンジ色の葉が多くなっています。今年はイチョウの黄葉を楽しんだほうがよさそうですね。

「モミジより イチョウは一応 きれいだな」

2015.10.20配信

「臭覚の秋」

 秋は様々な香りが鼻孔をくすぐります。キンモクセイ、ギンモクセイ、そしてギンナン。この時季にイチョウ並木を歩いていると、100mに一回は、芳香とは言い難いにおいが届きます。路面に転がっているギンナン、見落として踏んでしまうとギンナンと言うよりサイナン。靴を脱いだ後の玄関が、何とも言えない匂いで充満してしまいます。

その香りとは裏腹に、ギンナンはおいしいですね。私は何と言っても茶わん蒸し。茶わん蒸しの中に埋もれた1個のギンナンを探し当てた時は、宝物を見つけたような気分になります。

そんなに好きなのであれば、落ちているギンナンを拾って持って帰ればと思いますが、あの香りが邪魔をして、持って帰る気が起こりません。じゅうたんのように転がっているギンナンが何日経ってもそのままと言うことは、誰も持って帰らないのでしょう。せめて無臭であればと思うのですが・・・。

「収穫を ためらうギンナン 臭覚の秋」

2015.9.20配信

「秋雨」

 秋雨は別名、秋霖、すすき梅雨、秋入梅(あきついり)です。秋に現れる梅雨のような天気なので、つゆに関連した名前が付けられているのでしょう。

 梅雨と秋雨を比べると、西日本は梅雨の方が、雨量が多く期間も長くなっていますが、関東は秋雨の方がはっきりしています。それは、梅雨は暖湿流が南シナ海から東シナ海を通り西日本に向けて流れ込んでくるのに対し、秋雨の時期は秋雨前線を刺激する台風が、東海や関東を目指して北上することが多いからだと考えられます。

一日当たり100ミリを超える雨を月別で1951年から2014年まで調べると、東京は総数が54回に対し、8月が14回、9月が11回、10月が14回、8月~10月の3ヵ月間で年総数の3分の2ほどになり、大雨が秋雨の期間に多くなっていることが分かります。

 各地の気象台でも、スキ開花の便りが届くようになりました。ススキを見れば大雨を連想することが必要かもしれません。

 「穂が出ても ホッとできない すすき梅雨」

2015.8.20配信

「路面の温度」

 今年の7月末から8月半ばにかけては、うだるような暑さでしたね。夏ばてしていませんか?

 この暑さの中、赤外放射温度計で様々な所の表面温度を計測してみました。まずは、昼過ぎのアスファルト道路の表面温度、これは60度ほど。しかし日陰では33度前後。照り返しによる熱を考えると、日陰を歩くことが大事ですね。

 そして、日が昇る前の4時ごろの路面の温度は、30度ほど。昼間と比べると30度は下がっていますが、夜でも30度もあれば、都市の気温が下がらないのもうなずけます。

 ちなみに、毎週泊まっているホテルの部屋の壁の温度を測ると、32度でした。南西の角の部屋なので、外壁がずっと日が当たっているので、内壁の温度も下がり切らないようです。冷房をかけても部屋の気温が下がらないのもうなずけます。

意外と真夏の表面の温度は高いものですね。上手に都市と付き合わないといけないですね。

 では、「夏路面 温度高くて ろめんなさい」

2015.7.20配信

「長雨のあと」

7月に入って雨が続いたかと思うと、晴れて厳しい暑さとなり、台風もやってきました。気象の変化に頭も体もついていくのが精いっぱいです。

さてそんな中、先日梅雨の晴れ間が出たときに、新宿御苑に行ってきました。雨がずっと降り続いていたので、久しぶりの新宿御苑です。中に入ってビックリ、目についたのはキノコ、あたり一面にキノコ、キノコ、キノコ・・・。マッシュルームのようなキノコもあれば、ナメタケのようなもの、マツタケのようなものもあり、種々雑多なキノコの見本市でした。これが食べられるかどうかが分かったら、興味深い観察ができたのでしょうが、名前もさっぱりわからないので、写真だけ撮りました。

それと、コケも生えていましたね。これが、いつも登っている斜面にも生えていて、斜面を登ろうとすると、コケって結構滑るんですね。

雨が続くと地面の様子も変わりますね。そこで一句、   

「雨上がり 斜面のコケで こけました」

2015.6.20配信

「アマガエル」

我が家には、アマガエルがいます。子供が市内の田んぼで取ってきたアマガエルが、なんと四匹も。これが、私が仕事をしている目の前の水槽にいるのです。視界の中で動いていると、エサは足りているのか、水は大丈夫なのかといろいろと気になります。ペットショップでエサを買い、水入れを買い、結構な出費です。

さて、「アマガエルが鳴くと雨が降る」と言うことわざがあります。これが本当なら仕事のネタになりそうで、飼育している価値もあるのですが・・・。

カエルたちを毎日チェックした結果、答えは「??」です。部屋の中で飼育しているせいもあると思いますが、晴れの日も鳴いているし、雨が降っている時も鳴いています。ただ夜になることが多く、どうも湿度が高くなると鳴く傾向があるようです。

今のところの結論は、アマガエルの鳴き声からは天気予報はできないようで、出費だけがかさんでいることです。

「カエル飼う 帰らぬ出費 足が出る」

2015.5.20配信

「麦秋」

新幹線が滋賀県近江八幡市付近を通過するときに、黄金色の景色が目に飛び込んでくる時期があります。それは5月末から6月中ごろにかけての麦が実る時期です。周囲の山々が若葉の萌木色に覆われているのに対して、麦畑の一角だけは収穫の色に染まっています。   この時期を多くの作物が実る秋になぞらえて「麦秋」と呼びます。黄金色の穂が太陽光線で輝き、風に揺られている光景は、見ていて飽きないものですが、新幹線はあっという間に通り過ぎてしまい、車窓の景色を追う自分の首だけが揺れています。

この麦秋の頃は初夏であり、比較的晴れる日が多いものの、気温も天気も安定しているとは言い難い時季です。暖気が入ると真夏並みの暑さになり、寒気が流れ込むと3月並みの寒さになることもあります。

そこで一つ、「麦秋に 季節が少し バックしゅる」

油断すると体調も崩してしまうこともあるので、麦が実る頃は気を付けなければなりません。

2015.4.20配信

「黄砂飛ぶ」

この文章を書いているのは417日、我が家から見える六甲山がかすんできました。本日黄砂が飛んでいます。

西日本では毎年やってくる厄介な現象で、今日も天気予報の中で、黄砂の情報が扱われていました。車やベランダの手すりは汚れるし、洗濯物や布団干しも気を使います。

 私は講演等で黄砂の話をすることがありますが、西日本では話が盛り上がる現象のひとつですが、関東では黄砂ネタはあまり盛り上がらないのです。なぜ? と言うことで昨年までの30年間のデータをまとめてみました。黄砂の日数は、九州や中国・四国は一年当たり7日~9日、近畿は5日~6日、東海・北陸は3日~4日、関東・東北・北海道は1日前後です。大陸からやってくる黄砂は、徐々に落下しながら東へ運ばれるので、西よりも東の方が観測日数は少なくなります。

講演の内容は西と東で変えなければと、データを見てしみじみ感じた次第です。

  「黄砂ネタ 受けなかったら 降参よ」 

2015.3.20配信

「ハクモクレン」

 3月も半ばを過ぎると、春の勢いが止まりません。昼の長さがぐんぐんと長くなり、太陽の角度がどんどんと高くなります。暖かい日も増えてきましたね。梅が満開となり、雪柳が咲き、タンポポが咲き、柳が芽吹き、ソメイヨシノのつぼみが日に日に大きくなっていきます。このところ毎週土曜日に新宿御苑を散歩していますが、一週間もすると景色が一変しています。

 そんな中、ハクモクレンが咲きだしました。ハクモクレンはソメイヨシノの10日ぐらい前に咲きます。ただ、この花が咲いても立ち止まる人は少なく、大ぶりの花の割には存在感が薄いなぁ。まだ春が浅いので、春の喜びを感じることができないからでしょうか?

 そのハクモクレンを見ながら一句作りました。「木蓮が 咲いたが誰も 目もくれん」

間もなくすると桜が咲き始めます。本格的な春は目の前です。そろそろお花見の準備に合わせて、新年度の準備をしなければ・・・。 

2015.2.20配信

「春一番と花粉症」

 私は花粉症です。今年もつらいシーズンがやってきました。すでに目がかゆい、鼻水が出る。大型連休の頃まで続くと思うと、気持ちはどんより証拠の曇り空。

さて、花粉症の私は花粉の観測をしています。落下してきた花粉を顕微鏡で数える観測と、機械で自動的に観測をする2つの方法で観測をしています。

 観測のデータを眺めているといろいろなことが分かってきます。基本的に花粉は気温が高く、風が強いと多くなります。それは気温が高いとスギやヒノキの雄花が開き、風が強く吹くと風媒花(風によって受粉を成立させる)なので大量の花粉を飛散させるからです。

 「気温が高く、風が強い」と言えば、春一番です。暖かい南風の強風で、雄花が一斉に開き、大量の花粉が舞うことになります。春一番は大荒れの天気をもたらしますが、花粉症の方々にとっても目や鼻が大荒れになる嫌な風とも言えるでしょう。

 「春一番 花粉がバンバン 飛散する」

2015.1.23配信

「冬の虹」

  我が家は兵庫県の西宮市にあります。冬は北風が吹くと、しばしば時雨の冷たい雨や雪が降ります。東京は冬型の気圧配置になっても、高い山に雲がはばまれて、すっきり晴れることがほとんどですが、京阪神は日本海側にある山が1000メートル程度で低いので、北風が吹くと雨や雪が降りやすくなります。

 こんな時に虹が見えるのです。北の方向で視程内降水があり、南の空は晴れて太陽の光が差し込むという条件が整うと、北の空に虹がかかります。夏の虹は太陽の高度が低い時間帯である朝方と夕方にしかできませんが、冬は昼間でも太陽の高度が低いので、正午前後にでも虹ができるのです。

 虹を作っている雲は北から南へと、自分のいる場所に向かっていることがほとんどなので、冬の虹は見えると、すぐに降りだしてしまいます。長く見ている余裕はありませんが、寒さを忘れさせてくれる光景です。

 では一句「冬の虹 午後二時前でも 虹が出る」

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気象キャスター 南利幸さん
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